山岡洋一

読書好きが書店に行くのは、書店が楽しいからだ。だが、最近の書店はどうも楽しくない。楽しくないどころか、腹が立つばかりと思えることすらある。 その一因は、書店の規模が大きくなりすぎたことにある。出版点数が多すぎることも一因だろう。出版社は苦しくなると点数を増やして売上を確保しようとする。倒産直前の出版社ではたいてい、新刊点数が急増している。苦し紛れに出版点数を増やすときに、読みがいのある本が出てくるはずがない。 もっと問題なのは、気楽に読めると称する本が多すぎることだ。活字離れが進んでいるので、思い切り分かりやすい本でなければ売れないと、出版社は思い込んでいる。 ほんとうなら、出版業界が点数削減運動に取り組むべきだと思う。現在7万点ほどの年間出版点数が半分になれば、書店が楽しさを取り戻すかもしれない。だが、業界の総点数が減らないのに、自社だけが点数を削減すると、悲惨な結果になりかねない。 それよりも考えやすいのは破局シナリオだ。出版社が多数、倒産するシナリオ。そうなれば少なくとも一時的に、総点数が大幅に減少する。。。